自己照合システム

自己照合システムは、自己と世界の関係をめぐって、気分毎に一定の閾値内において部分と全体が相同的なパターンをもつフラクタル構造を形成していきます。組織化は、神経・生理学的なネットワークによる半ば自動的な機能や作用によります。

自己照合システムは、ある気分毎に、ちょっとした言い回し、動作・仕草、姿勢、態度、信念などにも相同的なパターンとなって顕れます。しかし多くの人は、少しでも異なる気分を得れば、先の気分の時とは異なる言い回し、仕草、身の構え方、姿勢、態度、語り方、信念を形成することによって、より可塑性のある柔軟で複雑な自己照合システムを形成することができます。

しかし虐待など苛酷な環境に育ってきた人などは、「私のことなんか誰も思っていないんです」「上手に人間関係を作れない自分がいけないんです」といいながら、視線を下方に落とし、がっくりと肩を落とし、相手とのアイコンタクトを避け、周囲の励ましの助言などには耳を一切貸さず、絶望感や無力感と深く結びついた自己表現、姿勢、態度や信念を変えることができなくなってしまっています。

頑固な心的問題を抱える人ほど、“こころ”の多層多次元にわたる部分がすべて相同的なパターンを形成して、可塑性や柔軟性を失ってしまっているのです。

そこで心理・社会的支援においては、多層多次元な“こころ”の顕れの中でも、もっとも変容可能性のある層または次元に焦点化し、その適切な変容の促進を根気よく図ることによって、他の層、他の次元の変容の契機となる小さな意味のある変容の促進を丁寧に積み上げていきます。すると、ある段階から新しい層や新しい次元の変容が自発自展的に自己組織化される臨界点がやがてやってくる時があります。