意識の志向性

意識の志向性には二つの方向があります。一つは観察対象を外我によって意識する場合です。意識する対象は自己自身が自己以外の世界の何かです。外我が観察主体となって自己及び世界を観察対象にして意識しているといえます。こうした意識は極めて顕在的で、外面的な認識的な志向性といえます。これに対して、もっと無意識的で潜在的で自動的な意識の志向性があります。それは内我による自己及び世界の出あいの不一致・一致の直接体験の直覚です。身体感覚的なもの、イメージなど、非言語的な内面的な志向性をもちます。

このように意識には、外的志向性と内的志向性の二つの方向があるのです。
私たち人間の自己は、内的志向性も外的志向性の区分も曖昧な胎生期・乳幼児期早期を経て、次第にまずは内的志向性をもった内我を発達させていっていると考えられます。

外的志向性をもった外我と内的志向性をもった内我がどのような関係にあるかで、同じ出来事に対しても実にさまざまな反応が違いが出て来ます。