瞬間の違和感の増幅・拡充

ビッグバンのイメージ

モヤモヤ感など、クライエントが言葉にする前の違和感(ゆらぎ)に焦点化し、その非言語的身体的感覚を増幅・拡充することで、クライエントが観察主体と観察対象をめぐって日頃反復している悪循環パターンが明らかになります。身体的違和感とは、自己と世界の不一致を包摂しているからです。

ところが不思議なことに、クライエントが観察主体と観察対象をめぐる悪循環パターンを自ら実感・自覚すれば、少しでも違和感が減じる方向に向かって観察主体の視点や態度を変えたり、観察主体と観察対象(自己及び世界)との関係自体の見直しを図ることが可能となります。

しかしこうした作業は、心理・社会的支援の場では、時に悪戦苦闘の展開となる場合があります。クライエントの抱いていた自己と世界の不一致が、時に支援者との間でも投影的に反復され易いからです。いったん不信感が支援者に投影されだすと、心理・社会的支援の場は、山あり谷ありの激しい展開となります。特にクライエントの抱く自己と世界の関係における不一致に過敏になっていたり、それを他者や世界に投影し悪循環を繰り返してしまって苦悩している方の場合、支援者のちょっとした言動にもクライエントは傷き易く、支援者にも憤怒を感じるからです。特に支援者への期待や理想化が強かった時ほど、落胆と傷つきは深くなります。こうしてクラエントと支援者の人間関係は、不一致と一致をめぐる激しい展開となります。しかし、この悪戦苦闘に両者とも生き残ることができ、ついに共に自己と世界の不一致・一致の繰り返しの中で、共に人間関係が一致の方向に向かって動きだすことが可能となった時、ついにクライエントの変容の時がやってきます。しかし時には、そこまでに至らず残念ながら支援が中断したり、不本意のまま終了することもあります。

しかし、これだけはいえそうです。クライエントと支援者が共に自己と世界の不一致・一致の絶対的矛盾を一致して実感・自覚していくことができれば、クライエントは、自己と世界が一致する方向に向かって適切な自己を自己組織化することができるようになっていくと考えられるのです。