
ホロニカル心理学で「場」とは、ローカルな地方、風土、文化や人間関係や社会関係が営まれる空間的な「ここ」を意味だけではなく、「時」も含みます。
場とは、「今・ここ」のことです。
しかし、「今・ここ」の「今」とは、厳密には、過去が含まれ未来が開かれてくる「瞬間」のことです。「瞬間」とは、「現在を単に瞬間的として連続的直線の一点と考えるならば、現在というものはなく、従ってまた時というものはない。過去は現在において過ぎ去ったものでありながら未だ過ぎ去らないものであり、未来は未だ来らざるものであるが現在において既に現れているものであり、現在の矛盾的自己同一として過去と未来が対立し、時というものが成立するのである」(西田幾多郎,西田幾多郎哲学論集Ⅲ 自覚について 他四篇 (岩波文庫) 文庫,1989、P9)といえます。
「今・ここ」の瞬間・瞬間において、過去によって作られたものから作るものへと万物が無限に対立しながら生成消滅を繰り返しているところが「場」です。
「場」は、一瞬前を含む過去によって作られたもののすべてを包含し、「今・ここ」にある出来事のすべての振る舞いを限定しながら、同時に新たな出来事を未来に向かって創発し続けているのです。「場」は、知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンが主張する「与える、提供する」ようなアフォーダンスと呼ばれる作用を持つのです。
すべての現象の生成消滅の源である「場」は、「場」がなくなれば「場」においてあるものがすべて無となるという意味では破壊的力をもつと同時に、新たなすべてのものを生成するという意味では創造的力をもっているといえます。
現代社会においては、人生の展開する「場」そのものに、生きづらを感じはじめた人が増加しているように思われます。それだけに生きづらさを、自分の生き方や自分と他者(社会)との関係を見直す契機とするだけはなく、それぞれ自分が生きる「場」と「自己(我という意識を含む)」の関係そのものの見直しを迫られるようなテーマが顕在化してきたように思われます。