すべての出来事やすべての個物には、それ自身に固有の本質などなく、また常なるものなどもなく、それ自身で欲をもつなどなく、すべては融通無礙に自由にあることを実感・自覚することが悟りといわれるのでしょう。無自性といわれるものです。
しかし、こうした境位に、一切迷うことなく、常にとどまることは至難のことです。しかし一瞬、ほんの一時ならば、そうした境位を体感することは誰でもできます。小さな悟りの体験といえます。ホロニカル心理学では、ホロニカル体験と概念化しています。
ただし、そうした体験は、あまりに身近で、瞬間的で、無欲の時の出来事のため、そうした境地にあったことすら忘却してしまう出来事でもあります。
素晴らしい景色に感動した瞬間、美味そうな食べ物を口にした瞬間、ふと地面の片隅にいる団子虫を発見した瞬間など、あまりに至近なところに、そうした瞬間があるのです。大悟を求めたり、苛酷な修行の上に彼岸や未来に得られると考える人には、むしろ、なかなか見いだせない小さな悟りといえます。