ホロニカル・アプローチにとって、もっとも大切なことは自己と世界が無境界となるホロニカル体験の実感と自覚の促進です。自己=世界の感覚の実感と自覚といえます。普段、無心になっている時が、そもそも自己=世界となっているということへの実感と自覚が大切なのです。
ホロニカル体験があればあるほど、自己と世界の不一致の苦悩に耐える力をもつことができます。そこで、ホロニカル体験の実感と自覚を増幅・拡充するためのワークが重要となってきます。
ホロニカル体験を得るために、不一致の要因を分析したり洞察したりする作業を続け、すべての観察対象を徹底的に意識化し、意識の中心である主体に統合していくという西洋的なやり方もありますが、しかし、そうした方法では、究極的な統覚主体が最後まで観察主体となって観察主体との間に立ちふさがり、案外、ホロニカル体験を阻むことになり、結果的にホロニカル体験を得ることができにくくなります。
そこで、観察主体と観察対象の不一致を一致の方向に向かって意識的に統合をする方法でなく、むしろ最初から観察主体と観察対象の境界を断ち切り、一挙にホロニカル体験を目指す方法も積極的に取り入れることが考えられます。禅的瞑想に近い方法といえます。
一切の言語を排して観察主体が無となって内的世界・外的世界に向かって直接体験を一気にあるがままに直覚することによってホロニカル体験を覚醒するアプローチです。ホロニカル体験に覚醒に至るまで起滅する様々な考え、表象・イメージなどのすべてはいったん“こころ”の脇にエポケー(あらゆる判断の停止、中止)し、直接体験そのものをあるがままの直覚を重視する態度を取ります。
禅的瞑想でなくてもいいので、観察主体が無となって内的世界・外的世界をそのまま見る方向に向かうと類似体験を得られます。 自己及び世界をひたすら無心となって観想するのです。そして無心になりきれた瞬間、世界の方からホロニカル体験が訪れてきます。これだけではとても禅の高僧ほどの境地には至りませんが、一瞬の小さな悟りのようなホロニカル体験は誰でも得られます。
ホロニカル体験を実感・自覚できた人は、自己と世界の一致体験を基盤に、自己と世界の不一致の時を一致にむかって適切な自己を自己組織化する可能性が自ずと高まります。