
多層多次元にわたる頑固な悪循環パターンの繰り返しほど、予測可能なフラクタル構造をもちます。そこでホロニカル・アプローチでは、悪循環パターンを逆利用します。
まず小物などを使って悪循環パターンに陥っている被支援者を外在化し、外在化された被支援者を被支援者自身が俯瞰できるようにします。すると次第に被支援者は、特定の出来事に視野狭窄的になって、悪循環パターンを繰り返している被支援者自身を、新しい観察主体から自ら観察することを可能としていきます。俯瞰的観察は、悪循環パターンに陥っている自己自身を、ほどよい心的距離をもった新しい観察主体から実感・自覚することを促進します。すると次第に被支援者は、悪循環パターンに陥る自己自身を予測可能になっていきます。
悪循環する自分自身を俯瞰することが可能となった新しい観察主体の段階に至った被支援者に対して、支援者は、これまでのパターンとは異なる小さな例外的出来事に積極的に焦点化していきます。通常、特定の出来事ばかりに近視眼的になっていた被支援者とっては、小さな例外的出来事は、あたかもノイズのような出来事として無視してきたものばかりです。しかし支援者が悪循環以外の例外に焦点化することで、被支援者はこれまで無意識だった出来事を意識化することができるようになります。すると被支援者は、自ずと悪循環パターン以外の出来事にも意識が向かうようになっていきます。視野の広がった新しい観察主体が、新しい対象を観察することを促進することによって、被支援者の観察主体と観察対象との新しい関係を創りだすことができるようになっていくのです。
実際の支援の場では、被支援者の新しい俯瞰的な観察主体は、これまでこだわってきた観察対象と新しい観察対象との間を行ったり・来たりすることでしょう。しかし、こうした往復の体験は、これまでの視野狭窄状態におちいっていた観察主体と観察対象の関係とは、まったく次元の異なる新しい観察主体と観察対象の関係への変容を促進し、その変容は、やがて被支援者の新たな自己と世界との関係を構築することにつながっていきます。
小さな例外的出来事への焦点化が、とても大切な作業と言えるのです。