倫理(5):問題にする人と問題にされる人

臨床心理学の実践における倫理は、苦悩する当事者のためだけではなく、その当事者のことで苦悩する周囲の人への倫理も意識したものでなければなりません。しかもその実践は、問題とされる人と、問題にする人の関係の不一致・一致を、それぞれの人において、より一致するものに変容させるものでなくてはなりません。

苦痛を受けた者と、苦痛をもたらした者の苦悩に対して、苦悩の意味を明らかにし、それを次の人生に活かすことのできるようなものでなくてはなりません。

苦痛ばかりに耳を傾けた人だけが理想化され、理想化された人以外の人の価値が切り下げられるような支援は、倫理に欠けるといえます。