観察主体と観察対象(3)

観察主体が観察対象を知るとは、観察主体が出来事に対して何らかの識別基準によって観察対象を分別しながら理解するということを意味します。科学的知識もそうした知識といえます。このとき観察主体の識別基準は、観察主体が所属する歴史・文化の影響を受けています。

しかしながら実在する客観的世界とは、観察主体が観察対象として理解する知的世界ではなく、むしろ観察主体をも含む世界と考えられます。実在する世界とは、自己を含み、自己が生成され消滅していく世界のはずです。実在する世界とは、観察主体と観察対象の区別がなきあるがままの直観的了解を含むと考えられるのです。

観察主体と観察対象が区別されているときは、むしろ観察主体が知的に構成している対象世界に、世界の理解が限定されてしまっていると考えられるのです。

科学、哲学、倫理、道徳や宗教の知識も、究極的には、自己の直観的了解との自己照合を歴史・文化的に繰り返しながら培われきたと考えられるのです。