暗闇

「押し入れ」「蔵の中」や「海の底」など、真っ暗闇の中に自分自身を擬態化させ、暗闇の世界に隠匿的に生きている方が、光輝く世界に生きるよりも安全・安心と感じる人たちがいます。苛酷な家庭環境や社会環境に生きてきた人たちに見いだされる心的特徴です。

こうした人たちにも光を求める気持ちはあります。しかし、光輝く世界を求めても、光輝く世界は天空の星の如くは遙か彼方にしかないと感じて絶望したり、逆に、すぐそこに光輝く世界があると知っても暗闇の世界にあまりに慣れ親しんできてしまった人にとっては、光輝く世界はおとぎのような世界であり、そんなおとぎの世界に足を一歩でも踏み入れたならば、もうそれ以上の幸せなどこの世にはなく、むしろ死んでしまいたくなるほど気持ちに襲われてしまって足がすくんでしまうのです。

自己の存在の輪郭を失い暗闇化することで、できるだけ誰にも発見されず生きることが最も安全・安心であると感じとってきた人にとっては、自分の存在を誰かに発見されること自体が恐怖につながってしまうのです。一切の情動や感情を凍てつけさせ、存在自体を否定し消すことが、生き残り策だったのです。光の世界に生きることを求めながらも、光の世界をもっとも恐れる人たちでもあるのです。

しかしこうした苛酷な世界に生きるサバイバル法を身につけてきた人たちも、その心性を理解する信頼できる周囲の人や支援者を得ることで、次第に、この世が光と影からなり、両者は不可分一体の表裏関係にあることに目覚めだしていきます。

相反するものが不可分一体の同一の関係にあることに目覚めていくと、誰もが、光と闇の間を行ったり・来たりしながら生ることができるようになっていきます。