※「IT(それ)」は,2024.11.20以降、「それ(sore)」に統合されています。以下のブログは、統合前のものです。
ホロニカル心理学でいう「IT(それ)」は、全総覧的で統合的作用をもち、「IT(それ)」の働く多層多次元な世界が究極的には「絶対無(空)」の場であることへの実感・自覚をもたらします。しかし実感・自覚のためには、自己意識の発達レベルが第6段階に至る必要があります。
自己は、第6段階に至ってはじめて、すべてが「IT(それ)」の働きによる慈悲の世界と実感・自覚することのできる「真の自己」に至ります。
第6段階では、「見るもの/見られるもの」「知るもの/知られるもの」「作るもの/作られるもの」といった二元論的対立は、絶対弁証法(西田哲学)的に止揚されます。
第6段階においては、自己の内的超越方向から「IT(それ)」が自己を突き動かし、自己を自己組織化するとともに、外的超越方向から「IT(それ)」自己を包み込みます。「内在即超越、超越即内在に、即ち矛盾的自己同一的に、我々の真の自己はそこから働くのである」(西田幾多郎,1945)といえます。
「IT(それ)」は、意識的な自己の深奥部にある衝動、本能、無意識といったものではありません。また自己の外に働く自己超越的な働きでもありません。自己と世界が相対立しながら同一にあるというすべてが絶対的に矛盾するところに「IT(それ)」は働きます。絶対無(空)の世界が絶対有の世界(相対的な有無を含む世界、宇宙)を創造しようとする働きが「IT(それ)」です。
一切合切の多の万物を創造し、一切合切を統合する働きの理の面が「IT(それ)」です。
「IT(それ)」の働きによって、自己や世界が動かされ、生成消滅を繰り返しているのです。私たちの自己は、「IT(それ)」の働きによって絶対無(空)から絶対矛盾的自己同一として、相対有(物質)と相対無(精神)が相矛盾する絶対有として生まれ、やがて、絶対無(空)に死に行くのです。「IT(それ)」は、万物創成の働きといえるのです。しかも究極の理といえるのです。
参考:西田幾多郎(1945).場所的論理と宗教的世界観.In:『西田幾多郎全集第11巻』,岩波書店.P417.