心理学は、人がこの世を生きる上において、その智慧が少しでも役立つものであることが大切だと思われます。
このとき、神・仏のような神秘的な働きがあるのか、どうかなど、宗教や哲学が扱ってきた問題に対しても、自己が生きて死ぬ意味の根源を探るという観点から、心理学的にも明らかにしていかなければならないと考えます。
ホロニカル心理学は、自己を「部分であり全体でもある」として捉え直します。内的世界と外的世界は、多層多次元にわたって密接な相互関係を形成していると考えます。すなわち、自己の生と死の意味を問う営みは、単なる個人的探求にとどまらず、他者との関係性、歴史的背景、象徴的世界との連関の中で深められるべきと考える立場をとります。
このような視点に立てば、神秘的な働きや宗教的経験も、自己の深層における象徴的・超越的次元との出あい時の全体的目覚めとして理解され、心理学的探究の対象となり得ます。こうした経験を、科学研究の対象外としたり、病理化するべきではありません。むしろ、人生の新たな意味生成の契機として尊重すべきです。
個の存在が、広大な宇宙と、実に密接な関係にあるとの覚醒が、神秘体験をもたらすと考えられるのです。
心理学の知は、臨床や教育、社会実践の場において、個人の苦悩や問いに寄り添いながら、共創的な対話を通じて展開されるべきです。ホロニカル心理学は、理論と実践の架橋を志向し、場の力や関係性の再編成を通じて、人がより深く、より広く「生きる意味」を見出していく営みに寄与することを目指します。