近代科学は、自然界における機械的で無機的な法則面を明らかにし、発見された法則を駆使することによって、人工的な事物を生産することに成功してきました。
しかしながら、近代科学は、生命、心的なものや自然の目的など、より自己を超えた事物の有機的連関など感性によって直観している曖昧で漠然とした感覚を明晰な一般法則から切り離すことによって、科学文明に囲まれた環境世界を作り上げてきました。
しかしその結果、今や人類は地球誕生以来の危機に遭遇しています。自然環境の破壊や汚染、生態系の著しい変容、原子力の危機など、いずれも地球全体に関わるレベルの近代科学の影の問題に直面しているのです。
科学的な根拠として、自然の無機的な側面に焦点化した法則に基づく統計学的な数字をいくら並べ立てられも、その統計のデーターが恣意的に操作されたり、予言性や再現性の確率が限りなく100%に近くない限り、常に予測不可能性な事態との遭遇による著しい危険に感性はさらされてしまいます。
絶対悪としての核兵器などは、まさに歴史的な科学文明の最大の影の象徴といえます。
20世紀までの反省に立脚するならば、21世紀の科学は、生命、心的なものや自然の目的など、無機的なものと有機的なものとの関係を含む複雑性のパラダイムを再構築する必要があると思います。