
暴力、威圧、否定、威嚇などパワーによる支配から解放された当事者にとって、最も重要な支援は、「今・ここ」という場が安全で安心できるということを身をもって体験できることです。支援者の「もう大丈夫だよ」という言葉以上に、「過去の体験と今・ここでの体験の差異」を体感し、もはや身構えたり、無力になったり、固まったり、自分の意志に反して抵抗する必要が実際にないことを実感することです。
しかし、このことは簡単にはいきません。当事者は、安全で安心できる筈の支援者の前ですら、他者や世界に対して身体が身構えてしまうからです。これは、神経生理学的に、世界は常に警戒すべきというアラームが鳴っているような状態で、支援者に対してもこの反応が反復されてしまうからです。その結果、安全で安心しても良いと思われる支援者の前でも、身体はなかなかリラックスせず、表情は硬く、感情が欠けてしまいます。
支援者は、この反射的な神経生理学的反応を理解し、対人交流を通じて、当事者が安全と安心を実感・自覚できるようになるまで、根気強く働きかけ続ける必要があります。具体的には、支援者は、当事者が微妙な身体反応の変化に応じて、より安全で安心できる方向に、当事者自身のペースで自己決定できるように支援することが重要です。支援者が救済者の幻想にとらわれないことが重要です。当事者が、過去の心的外傷から、「今・ここ」という安全で安心できる場に生きことができるまで生き延びた感動を共有するような支援が重要になるのです。
支援内容を自己決定できるという体験自体が、当事者が自分の身体感覚を自分のものにしていける感覚を獲得することにつながります。これは、麻痺したり凍結することなく、身体が変化するプロセスを自分のものにしていけることが重要であることを意味します。麻痺したり凍結することのない身体に変容していくプロセスを自分のものにしていけることが大切になるのです。
ホロニカル心理学の観点から見ると、これは、直接体験を内我が身体的自己上に起きた出来事として直覚でき、内我と外我が対話軸を樹立していくことが、当事者自身が問題解決の主体感を醸成していく基盤となるということです。