“こころ”とは(80):ホロニカル心理学における『絶対無』と『空』の統合的理解

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ホロニカル心理学では、“こころ”とは、哲学における「絶対無」や仏教における「空(くう)」に通じる概念であり、自己や世界が生成と消滅を繰り返すなかで絶えず自己組織化を行う「場」であると捉えます。“こころ”は、単なる内面や個人の意識ではなく、多層的・多次元的な関係の中で絶えず変容する「場所的自己」として現れます。

仏教思想における「空」は、すべての存在が固定的な実体を持たず、縁起によって生起し、変化するという認識に基づきます。禅宗の達磨や道元は、「無心」の境地において真の自己を見出すと説いており、これは“こころ”の本質的性質に深く関係しています。華厳思想では、宇宙のすべての存在が互いに依存し、調和し合う「縁起」の網の目の中にあるとされ、“こころ”が世界とつながる契機を示しています。

また、西田幾多郎の哲学においては、「絶対無」は思考と存在が出会う場であり、自己と世界が統合される基盤とされます。西田はこれを「場所の論理」において、「絶対矛盾的自己同一」と表現し、“こころ”の根源的機能をこの「絶対無」の場に見出しました。

道家思想においても、「無」は極めて重要な観念です。老子は、自然の流れに逆らわず身を任せる「無為自然」を説き、“こころ”が作為から離れた「無」の状態にあることが理想とされました。荘子は、「心斎(しんさい)」という修養法を通じて、心を虚(うつろ)にし、万物と一体化する境地に至ることの重要性を述べており、これは“こころ”が世界と融合する可能性を示唆しています。

このように、「絶対無」や「空」を“こころ”と見なす視点は、東洋思想を中心に深く探求されてきました。それは単なる否定的な「無」ではなく、むしろすべての存在を包み込み、世界と自己の根源的な結びつきを開示するダイナミックな生成の場であると捉えられるのです。ホロニカル心理学は、このような“こころ”の捉え方を基盤とし、個人の内面と世界の構造との相互関係を照らし出す実践理論として展開されています。