約束を守れる力

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心理社会的支援において、被支援者が面接日の約束を守るためには、まず支援者にまた会いたくなるような動機や気持ちがあることが必要です。特に定期的な家庭訪問事業など伴走型支援においては、「支援者と被支援者がお互いに、また会いたくなるような関係」が求められます。「専門性より関係性」が重視されるのです。しかし、家庭訪問型支援の対象となる人の多くは、これまでの支援により深く傷つき、外からの支援に対して不信と警戒心を抱いているのが実態です。

そのため、被支援者がこれまでの支援に抱いてきた絶望、不信や怒りなどを支援者が聞き続ける覚悟と資質が問われます。その言動は荒く、攻撃的であったり極端なことも多いでしょう。もしも支援者が思わず言い返してしまったり、激しい陰性感情を抱いてしまうと、「また会いたくなる関係」を構築するどころか玄関が閉まる結果になってしまいます。しかし、支援者が被支援者の傷つきの深さを共感し、憤怒の嵐を乗り越えたとき、新たな信頼関係が生まれることが多いのも事実です。信頼関係が生まれるときとは、支援者は、これ以上被支援者を傷つけないよう心がけることができるようになったときです。すると、いかにこれまでの支援が支援者の独我論的なニーズと支援論理に基づいていたかが明らかになり、当事者不在の支援が被支援者を深く傷つけていた実態を目の当たりにすることになるのです。

家庭訪問型事業では、まず信頼関係の再構築が必要です。これまでの支援の論理は、現場とはかけ離れた診察室や面接室や研究室で培われてきた理論や技法のアウトリーチ応用がが中心です。しかし、生々しい問題が錯綜する家庭など支援現場では、従来のままの応用ではうまくいかず、実態に即した当事者中心の支援の理論と技法の構築が必要になります。

家庭訪問では、被支援者も自分のニーズを的確に把握できず、また上手く表現できない場合もあります。そうした場合、今解決すべき問題は何か、支援者と被支援者が一緒に適切なニーズと問題解決法を共創することが必要です。こうした共創的関係の構築は、従前の専門家による家庭訪問とは異なり、支援者が「親密な他者」になることを意味します。「親密な他者」になれたとき、約束を守り合う関係が成立するのです。支援者は、約束を守りたくなる人になることが求められているといえるのです。