
ホロニカル心理学では、「生」を対象化し分析的に分解するのではなく、自己と世界の出あいのせめぎ合いによって生まれる体験の動的な流れとして捉え直します。「生」は、静止した断片として切り取るのではなく、部分に切り分けられない全体性を持ちながら、多層・多次元的な動的プロセスそのものとして理解していくことが大切です。そしてその全体性は、一即多・多即一という原理のもとに保たれています。多様化しつつ全体として一つであり、一つでありながら多様化していく無常の流れの中に、あらゆる生命活動があります。
“こころ”もまた、分割不能でありながら、多様な層と次元を内包し、その根底には一つの流れが貫かれています。この流れは、自己と世界のせめぎ合いの中で生じる直接体験の揺れとして現れ、無限の底から溢れ出し、知・情・意として顕れます。言い換えれば、直接体験こそが“こころ”の源泉であり、その中にはすべてが包摂されているのです。
直接体験は、「生」の表現として、語りや身体のふるまいの中に立ち顕れます。そして、その流れの意味を自らの内側で再構成していく営みこそが理解です。ホロニカル・アプローチでは、この理解を「自由無礙の俯瞰」によって体系化し、自己と世界の関係全体を視野に収めながら、それを実感と自覚として深めていきます。
この理解の過程は、常に歴史的な文脈の中で進行します。時間的連続の中で意味は生成され、“こころ”そのものもまた、生の流れとともに発達的に変化していきます。それは、個人の歴史や他者との関係性の中で深まり続ける動的な過程です。
「生」の意味は、単なる科学的説明によって完全に解き明かされるものではありません。それは、自己理解、他者理解、そして歴史的・文化的理解を通して初めて了解されるものです。ホロニカル心理学は、この“生”の理解を、理論と実践の両面から支え、自己と世界のせめぎ合いを生き抜くための視座を提供します
自己理解や他者理解や歴史的文化的な理解を通じて了解されて来るものといえるのです。