近代自然科学の影の問題と心理学の役割

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近代自然科学は、自然を観察対象として近代知や技術を発達させてきました。しかし、自然科学が基盤としてきた自然そのものやその摂理がゆがめられ、破壊され、地球規模で多くの人々の生存を脅かす段階にまで至っています。

近代科学の基盤は、自然を外的現実として観察対象とし、分析と統合を繰り返しながら因果論的な対象論理を体系化してきました。しかし、主観を排除した客観性重視の知的パラダイムの弊害が明らかになり、近代科学の影の問題の克服が現代社会の緊急課題となっています。

近代科学の影の問題を考えるとき、主観を扱う心理学が、新しいパラダイムの構築に寄与することが期待されています。しかし、新しいパラダイムに基づく心理学は、従来のパラダイムを全面否定するものではなく、むしろ、古いパラダイムを弁証法的に統合することが求められます。直接体験が観察主体と観察対象や主観と客観となって対立関係になるとき、観察主体と観察対象、主観と客観がいまだ分かれる前の段階の直接体験を根源として統合されると考えられるのです。主観と客観の区別のない段階の直接体験が、観察主体、主観と客観の対立を再び直接体験によって統合していくような絶対弁証法に基づく心理学の構築です。

主観と客観は、常に直接体験を参照枠とすることが重要です。客観的な真理とは、ある現象を観察対象として焦点化し、観察結果を分析し総合した結果発見された法則に過ぎず、普遍的な真理とは言えません。客観的な知とは、極めて限定された現象に関する分別知に過ぎません。客観的な外的世界は、主観的な内的世界を疎外してはならないのです。内的世界と外的世界を分断された自己は、世界との繋がりを感じられず、実存感を持ちにくく、主体感のある人生が剥奪されます。

主観を排除しすぎた客観主義偏重の観察法自体が、機械論的で無機質な世界を作り出してしまったのです。内的世界や主観を無視した近代科学技術の発展が、内的世界と外的世界や自己と世界の分断を加速させ人類に不安を与えているといえるのです。

私たちは、主観を抜きにして普遍的真理や実在する世界について語ることはできません。直接体験の実感・自覚を手がかりに生きることが重要といえるのです。