「今・ここ」を生きる

AIで生成

ホロニカル心理学では、「今・ここ」を生きることの大切さを中心に据えます。「今・ここ」を重視するとは、私たちが立ち上がり、触れ合い、葛藤し、また安らぐこの現実世界そのものを丁寧に見つめ直すことを意味します。しかし、この姿勢は「あの世」や死後の次元を否定しているわけではありません。むしろ、「この世」は常に「あの世」を包み込みながら展開していると理解するのがホロニカルな視点です。

「今・ここ」とは、絶対無から不断に湧き上がる生と死の躍動が交錯する「永遠の今」にほかなりません。生はつねに死へと向かいながら進み、死は生を内包しながら私たちを支えています。こうした相補的で包摂的な関係を理解するとき、私たちが生きている一瞬・一瞬は、すでに全体へと開かれた深い意味を帯びていると気づくことができます。

いずれ死すべき有限の存在でありながら、永遠へとひらかれた無限の可能性を持つという一見するだけでは相反するように見える構造こそが、私たちの“こころ”のホロニカル性です。有限性があるからこそ、いま目の前の一瞬がかけがえのないものとなり、同時にその一瞬は、永遠性に触れる窓でもあります。

ホロニカル・アプローチは、あの世や彼岸に救済を求める宗教的体系とは異なり、「今・ここ」の世界がより生きやすくなるよう支援する実践の中から生まれました。対人援助の現場で、一人ひとりの“こころ”が抱える複層的な痛みや希望に寄り添うなかで、ホロニカルな理解と技法は発展してきました。そして、その積み重ねの実践が理論化され、体系化されたものがホロニカル心理学なのです。

「今・ここ」を生きるとは、過去でも未来でもなく、有限と無限が触れ合う一点に身を置くことです。この一点を深く味わい、他者と世界との関係性を丁寧に紡ぎ直すこと、そこに、私たちがより人間らしく、より全体的に生きる道が開かれてくるように思われます。