
自己と世界が出あうとき、私たちはつねに、一瞬・一瞬、不一致と一致を繰り返しながら生きています。このテーマを乳幼児期に落とし込むと、それはアタッチメントになります。しかし、乳幼児期のアタッチメント形成が不全だったからといって、成人期の問題がすべてそこに起因するという単純な原因論を採用するべきではありません。
自己と世界の出あいの不一致は、人生の早期だけに起こるものではなく、生涯を通じて繰り返される経験です。乳幼児期に、適切な養育を通して自己意識の発達が促され、不一致と一致の繰り返しが、一致に向かっていく体験を多く積むほど、大人になってからの愛の絆の基盤が育まれる可能性が高まります。
もし愛着が「人生早期にだけ成立し、その後は修復が困難である」と理解されてしまえば、人は成長過程での失敗を取り返せないものとして背負うことになります。しかし現実には、そうではありません。大人になってからも、他者とのあいだに結ばれる“愛と信頼にもとづく絆”は、自己と世界の一致へと向かう再組織化の重要な契機となります。
成人後の関係性のなかで、不一致が適切に扱われ、他者からの応答や共感を通して一致へと向かう体験を積み重ねれば、自己と世界への信頼は回復し、自己組織化のプロセスは新たに生成します。
この意味で、自己と世界の不一致・一致の出あいというテーマは、乳幼児期に限定されるものではなく、むしろ人生そのものの深層に一貫して流れる“永続的な課題”であるといえます。