“こころ”は、ひと色ではない

アンビバレント」とは、ある人や物といった同じ対象に対して、「好きと嫌い」「やりたいけれど怖い」といった相反する感情や両価的な態度が同時に立ち上がる、複雑な心的状態を指す言葉です。

少し立ち止まってみれば、私たちは誰しも日常的に複雑な“こころ”を抱えて生きているのではないでしょうか。むしろ、その複雑さこそが、喜怒哀楽を伴う人生に奥行きと味わいをもたらしているとも言えます。逆に、こころがひとつの色に塗りつぶされてしまうときこそ、危うさが潜んでいるのかもしれません。

その意味では、「平穏」とはこころが単色で静止している状態ではなく、むしろ多様な感情がゆるやかに重なり合い、移り変わっていくことを実感・自覚できているときにこそ感じられるものだと思われます。