カウンセリングや心理相談に対する社会的ニーズがとても高い時代になっています。しかし、「カウンセリングとは」や「心理相談とは」という問いを立てた途端、定義や言葉の使い方が実はかなり人によって違いがあることが明らかになります。こうした多様性・多義性は、さまざまな混乱や心的支援を受けることへの抵抗や過大な期待の要因にもなっています。
こうした混乱を避けるために、カウンセリングや心理相談とセラピー(心理治療や精神療法)とをできるだけ区分しようとする考え方もあります。この時、次のような視点による区分が一般的です。「“こころ”の比較的浅い(表層)レベルの変化を目指しているか、深いレベル(深層)の変化を目指しているのか」「発達・成長促進的視点か、治療的視点か」「支持的か、洞察的か」「日常的現実的テーマを扱うか、内的なテーマを扱うか」と言った具合です。しかし実際の面接場面では、両者の区分は難しいのが現実です。それだけにカウンセリグや心理相談ならば、支援者が専門的訓練を受けていなくても大丈夫だろうと考えるのは危険でしょう。
ホロニカル・アプローチでは、カウンセリングや心理相談を他の概念との差異を明確化して定義しようとする立場とは異なり、心理相談という用語を心理・社会的支援の統合的立場から使用しています。
この立場をとるには理由があります。“こころ”の表層レベルは、いつも深層レベルに影響していますし、深層レベルは表層レベルに影響を与えています。また、外界での体験は内界に影響してくるし、内界での体験の変化は外界の認識や理解に仕方に影響していきます。また、“こころ”の発達・成長は心的症状や問題行動を変容させる力をもっていますし、心的症状や問題行動の消失や解決は心の発達や成長を促進します。
そこでホロニカル・アプローチでは、カウンセリングや心理相談とセラピーを区分することよりも、両者を統合的にとらえていく方が重要と考えています。“こころ”を外的現実から心的現実まで、深層から表層まで、意識から無意識まで、幅広く総合的に捉えていこうとする姿勢を大切にしているわけです。