
ホロニカル体験は、人類学者レヴィーブリュールからユング派が借りてきた概念である「神秘的融即」、マスローMaslow,A.H.(1973)の「至高体験」、仏教では、「悟り」などと類似する概念です。現代の精神分析でいう投影的同一視のテーマとも深く関係します。
自己と非自己的な対象と区分がなくなり、相互に浸透しあって、両者を区分できなくなるような主観的体験を意味します。ホロニカル体験から抜け出るためには、ホロニカル体験そのものを内省する意識の働きが必要となります。
ホロニカル体験にはいろいろとあります。自己と身近な他者との間、自己と家族、自己と民族、自己と神など、究極的には自己と世界との融即体験まで幅と奥行きがあります。ホロニカル体験をどこまで実感・自覚するかで、さまざざまな段階があるといえるのです。
ユングも指摘したように、すべての世界が、一なる世界(ウヌス・ムンドウス)的につながっていきます。それは現代的には、現代物理学の描く世界観の、それぞれまったく離れたところにある素粒子たちが、お互いの動きに反応しあって、あたかもダンスを踊っているかのごとく相互浸透的調和的に振る舞っている重々無尽の宇宙のイメージと重なり合っていきます。