
ホロニカル心理学では直接体験を実在するものと考えています。では、実在する直接体験のさらに根底には何があるのでしょうか。
ホロニカル心理学でいう直接体験とは、内我による直覚や外我による認識の以前の未だ主客が未分化の自己と世界の不一致・一致の出来事のことです。直接体験が直覚や認識以前ということは、直接体験は、すでに意識を超えたものであり、無・意識の直観的把握による非言語的出来事ということを意味します。では、直接体験は、神経・生理学的な物理的現象かと問えば、物理的現象を引き起こしているのは何らかの働きであり、その働きが物理的現象を形成していると判断される限り、その働きは物理現象を超えている働きによると考えられます。直接体験の根底にあるものは、意識的現象や物理的現象を超えているわけです。物を有とすると、意識や働きは無といえます。物と意識や働きは、相対有と相対無といえます。すると相対有と相対無が矛盾しあいながら同一にあるものが直接体験であり、その根底にあるものは、相対有の物や相対無の意識を、さらに生み出す働きがあり、その働きは、すべての有無を包むものであり、相対的な有無を超えたものといえるのです。
相対有(物)と相対無(意識)からなる世界とは、相対有と相対無を生み出しながら、それらを包み、それらを超えた、絶対有としての全宇宙のことです。絶対有としての全宇宙がなければ、すべては虚無となります。しかしこの全宇宙は、自己にとっては、直接体験を通して実在を実感・自覚することのできる実在する世界です。では相対有(物)と相対無(意識)からなる絶対有としてのこの全宇宙の根底はどのように考えられるのでしょうか。
この徹底した考究の上で、東洋では、「空」「道」「ゼロ」「絶対無」の思想が生まれたと考えられます。