ホロニカル心理学の論理

 

ABCモデルの基本形

ホロニカル心理学の基本モデルであるABCモデルのA点とは、自己と世界の不一致の極限の出来事に、観察主体となる我(現実主体)が固執し、視野狭窄

的、かつ近視眼的になり、観察主体がA点に没入しきってしまって自由度を失ってしまう状態といえます。

それに対してB点とは、自己と世界の一致の出来事に、観察主体が忘我脱魂状態になって無となり、一種の志向体験(ホロニカル体験)を得る時のようなものといえます。

A点は陰の鬱々とした気分で彩られ、B点は陽の晴々とした気分で彩られます。

ホロニカル心理学の目的は、自己と世界の不一致のA点の出来事を否定滅却して、自己と世界の一致を希求することではありません。極限のA点である陰と、極限のB点の陽との行ったり・来たりのうちに、自己と世界の不一致、すなわち観察主体と観察主体の不一致による差別分別の多層多次元の世界が、観察主体と観察対象が一致の瞬間には、そのまま自己と世界の無差別合一にあることへの覚醒を深化させていくことにあります。

華厳思想の一即多・多即一への覚醒と深化といえます。無限に分別される多の世界が、そのまま無分別の無差別の一の世界でもあるという境位への目覚めです。もはや、A点とB点の間をさまたげるものなど何もないという自由無礙への境位といえます。こうした覚醒段階では、C点は、無限の点から無限の球に至るまで自由無礙に飛翔し、AもBも、AでありBでありながら、AでもBでもないという論理になります。こうした論理は、東洋で重視されてきた論理です。観察主体と観察対象を区分した上で観察主体が観察対象を識別・分別する時の論理とは異なる論理といえます。

ホロニカル心理学は、観察主体と観察対象の不一致時と一致時を共に扱うことを可能とする論理を探求するところに新しい心理学を構築しようとしています。