ホロニカル心理学では、身体的自己の内側に何んらかの中央司令部にあたる「何か」意識的な主体が潜んでいて、この主体が何かを経験しているとは考えていません。身体的自己は誕生から一生を終えるまで、自己と世界の不一致・一致の直接体験の繰り返しの中で、適切な自己を自己組織化しようとするごく自然な主体的な働きを自己自身が生まれながら備えていると考えられるのです。
「何か」のことを、通常、私たちは無意識のうちに、「私(我:現実主体)」と呼んでしいますが、「我」は、自己と世界の不一致・一致の直接体験の繰り返しの自己意識の発達の中で、次第に形成され結実苦してきた心的な機能と考えられます。したがって、「主体が何かを経験している」のではなく、「経験を意識する主体がある」と考えられます。
このことを忘れると、心理学は、個人意識中心の自己内に閉じた狭い心理学になってしまいます。