場所に生きる場所的自己は、場所のもつ一切合切の矛盾を自己に映しかつ内在化しています。
それが故に場所的自己は、場所自身がもつ矛盾を映しロゴスとして内在化し、それを表現しようとするところに言語が生まれます。
ホロニカル心理学の立場からみると、この「場所的自己」とは、単なる個人の主体ではなく、自己と世界とが相即相入するホロニカルな場において生成される存在です。つまり、自己は場所から切り離された独立した実体ではなく、場所のもつ多層・多次元にわたる矛盾を抱え込みつつ、その矛盾を表現へと媒介する主体でもあります。ここにおいて言語は、単なる情報伝達の手段ではなく、矛盾そのものを創造的に包摂し、他者と共有可能な新しい“こころ”の次元を開く契機となります。
場所的自己の営みの特徴は、「矛盾を受け取り、内在化し、表現へと転換する」というダイナミズムにあります。また場所的自己によって表現された場所は、新たに表現されたものを場所に包摂しながら、新しい世界を創造していくことになります。しかもこうした相即相入のプロセスは、“こころ”が、自己と世界の狭間で生起する出来事を統合し、新たな意味を生み出す創発の場として働くことによって可能になっています。