形而上学的世界の扱い方

神秘的体験を重視しつつも、自己と世界の無境界的な自己超越的体験(自己と世界の一致によるホロニカル体験に伴う自己を超えた働きへの直観)から、自己超越的世界の実在性を安直に信奉するのではなく、できる限り形而上学的テーマについても、理性的、学問的、科学的に探究していこうとするのがホロニカル心理学の立場です。特に、実感・自覚の深まりのためには、適切な自己意識の発達が不可欠と考えています。

多くの人は、ホロニカル体験を実感・自覚することなく日常生活を送っています。しかし、実際には、誰でも自己自身が物事を直覚したり、何かを認識・識別しだしてしまう寸前の直感的直接体験の次元では、自己と世界の一致のホロニカル体験は、瞬時・瞬時、非連続的に生起していると考えられます。それが故に、自己意識の統合的中心である我(現実主体)が無となった時、自己と世界の区別が突如として無境界となって、何かの出来事に忘我脱魂して、全体験に包まれる現象が多くの人に見られます。しかしこうした「小さなホロニカル体験」は、通常の場合、すぐに身体の記憶の彼方に忘却されてしまいます。

しかし中には、そうした「束の間のホロニカル体験」に、我(現実主体)が呑み込まれたままになる人が出てきます。そうした人の多くは、現実世界を虚妄として否定し、自己超越的世界のみが実在すると過信しだしてしまいます。

大切なことは、絶えず自己と世界は、不一致と一致を繰り返している現実の直視です。そして自己と世界の不一致が避け難いが故に、自己は、自己と世界がより一致すべく、より適切な自己の自己組織化やより適切な世界を求めて世界の自己組織化に参与することが大切になっていることを常に忘れないことにあると思われます。