
自己の自己組織化は、内部と外部の二つの圧力による矛盾と対立の統合化のプロセスとして展開します。内部からの自己組織化は、自己と世界の出あいの直接体験との不一致・一致の繰り返しにより、自己が自己と世界の一致を求め、自己自身を自己組織化します。この時、非連続的な直接体験の断片を統合し、秩序をもたらす力が働きます。この力は、複雑な情緒や感情によって形成された複雑な気分により、特定の気分の突出の鎮静化を促進していくます。
自己と世界の出あいは、瞬間的で非連続的です。しかし、それは一つの身体的自己上での出来事でもあります。そのため、非連続的な自己の体験の断片は、一つの身体的自己上の体験として蓄積されます。直接体験には、一瞬・一瞬の経験が累積され続けます。自己にとって、瞬間・瞬間の経験そのものは、その都度、身体的な緊張や弛緩、衝動、快不快などの情動的な要素を含む生々しい出来事となります。しかし、その一瞬・一間の身体感覚的な断片は、すでに蓄積されてきた異なる直接体験と統合され、より複雑なものになります。その結果、身体的自己は、一瞬・一瞬の差異を統合したより複雑な身体的感覚や感情を持つ一つの自己の中心として抱かれます。ホロニカル心理学では、この複雑な身体感覚や感情を統合する中心点を内的現実主体(内我)と呼びます。
同じような生物学的な身体的機能を持つとしても、どのような直接体験を経験するかには個体差があります。しかし、同じ共同体に生きているほど、内的現実主体は、同じ場所特有のイメージ・表象や感情を共有する共通感覚を持つようになります。それでも、それぞれの自己が蓄積する直接体験には個体差があるため、内的現実主体は、直接体験の累積によって個性化します。
一方、外部からの自己組織化は、自己(外的現実主体:外我)が非自己化している対象世界が、自己に対して世界との一致を迫る危機が自己組織化の契機となります。国家や共同体が自己に変革を迫るのは、外発的自己組織化の典型例です。
この時、自己に変革を迫る世界は一つであり、外発的自己組織化は、世界を一つの世界として統合し、国家や共同体の理論などの一般化された形式論理によって自己の統合化や秩序化を図ります。こうして、個性化を求める内発的自己組織化と一般化を求める外発的自己組織化が、絶対的に相矛盾しながらも、少しでも一致する方向に適切な自己の自己組織化が促進されます。内発的自己組織化と外発的自己組織化が対立する場合や、一方が極端に強すぎると、適切な自己組織化は停滞するか、自己組織化自体が解体していくと考えられます。