無意識的行動の意識化とレジリエンスの発見:ホロニカル・アプローチの実践

AIで作成

被支援者が危機的状況で無意識に取った行動を意識化し、レジリエンスを高める効果的な方法があります。

まず、小道具などを用いて場面再現法を行い、被支援者が直面した危機的状況を再現します。

次に、被支援者と支援者が共同研究的協働関係を構築しながら、今後の危機的状況への対応策を検討する場を設け、その中で被支援者が危機的状況で無意識に取った行動を思い出すよう促します。

思い出された行動が、当時の被支援者が生き延びるために必要だったと支援者が了解できる場合、支援者はその行動を批判や評価、解釈をせずに、あるがままに支持的にフィードバックします。

このようなフィードバックにより、被支援者は無意識的行動を肯定的に意識化し、自身のレジリエンスに気づくことができます。

35歳の忍さん(女性)の事例(実際の事例を組み合わせて創作したノンフィクションフィクション)です。

35歳の忍さんは、夫との喧嘩をきっかけに将来への強い不安と極度の不眠に悩み、精神科クリニックの紹介でホロニカル・アプローチを行う心理相談室を訪れました。

数回の面接の中で、不眠の要因の一つに悪夢があることが分かりました。その悪夢では、暗闇の嵐により木っ端微塵になり、希望の光が見えず、ただ翻弄される自分の姿が描かれていました。

しかし、支援者と共に「暗闇」から連想される記憶を探る中で、忍さんは子ども時代の押し入れの暗闇の記憶を思い出し始めました。

一人っ子だった忍さんの両親は喧嘩が絶えず、特に父親が泥酔して母親に暴力を振るい、家中の家具を壊すことが頻繁にありました。忍さんは、両親が喧嘩を始めると怖くなり、大声で泣いていました。すると、母親に「あなたはここにいなさい」と言われ、無理やり押し入れに閉じ込められるのが常でした。

支援者は、被支援者の語りを、小物を使って、家の間取りを図で再現しながら、押し入れの暗闇の中の子ども時代の忍さんと、押し入れの外で激しく言い争っている両親の場面を再現していきます。そして、支援者の中に湧き上がってきた気持ちと次のように伝えます。

支援者は「押し入れの暗闇は、忍さんを嵐から守る場所でもあったのですね」

すると、忍さんの表情はどんどん変化していきました。「私は、両親の言い争う声を聞きたくなかった。だから必死に布団を被って耐えていた。そして、声がしなくなった頃を見計らって、押し入れの襖の穴から外の様子をうかがっていました。もう大丈夫かなって・・・」と涙を流しながらも、すっきりした顔で語りました。支援者は「頑張って、耐えていたんですね」と応じ、「暗闇は、忍さんを守る場所でもあったのですね。そしてその暗闇を耐える力をお持ちだったのですね」と伝えました。

その後、忍さんは、夫とのちょっとした言い争いに過度な不安をい抱くこともなり、不眠も改善されていきました。