
大きな変化を一足飛びに求めるのではなく、小さな変化を見逃さず、それに機敏に反応しながら、その意味を丁寧に増幅・拡充していくような心理社会的支援が求められていると考えられます。
短期間のうちに劇的な改善を期待する必要はありません。それよりも具体的な課題に対して、小さくても実感・自覚できる変化を継続して積み重ねていくことが大切です。
たとえば、不登校の子どもに対しては、学校に登校することそのものよりも、まずは朝、子どもが起きたときに家族内の雰囲気が悪くならないような状態をつくること、あるいは、家族で一緒にご飯を食べ、ゆっくりとテレビを見たり団らんの時間をもったりすることに重きを置く、といった関わり方が大切になります。
「学校に行くこと」だけを唯一の目標とすると、それを拒む子どもとの関係が悪化し、家族全体が憂うつな雰囲気に包まれてしまう可能性があります。それよりも、「今・ここ」でできることを丁寧に繰り返していく姿勢が求められます。
こうした小さな、しかし意味のある変化に寄り添い、それを支援していくような心理社会的な関わり方が支援の核心なのです。
意味のある小さな変化は、外的な行動だけでなく、内的な意識にも表れます。たとえば、不登校の子どもに対して、親が焦らず、「今・ここ」の時間を大切にしようという気持ちをもつこと。あるいは、「一緒に過ごす時間だけでも大切にしたい」と願い、その思いを言葉にして子どもに伝えること。それらが、子どもに伝わる「量子的な」変化、つまり微細でありながら決定的な親の態度の変化として働き、子どもとの関係性に新たな変容をもたらす契機となります。
ホロニカル・アプローチでは、内的世界の小さな意味のある変化は、外的世界の変化につながり、外的世界の小さな意味のある変化は、内的世界の変化につながっていると考えています。
「不登校を改善する」ことだけにとらわれすぎて、大きな変化ばかりを追い求めることで、こうした意味のある小さな変化を見逃さないようにすることが、いま私たちに求められている支援姿勢です。