トラウマの扱い方(31):「内我」と「外我」の悪循環

トラウマ体験は、その衝撃が強いほど、人は否定的な論理(ホロニカル主体:理)を一般化しやすくなります。そして、「他者や世界は危険な存在である」という考えを支える論理が次第に形成されていきます。

この否定的な論理は外我に取り込まれ、他者や世界だけでなく、自己の内我にも向けられるようになります。その結果、「自分には存在する価値がない」「自分は消え去るべき存在だ」といった自己否定へと発展していきます。

外我に内在化された否定的な論理は、内我に過剰な罪悪感や自己責任感を抱かせるとともに、他者や世界に対する警戒心をさらに強めていきます。

一方、内我は、幼少期からの虐待や繰り返されるDVなど、逃げ場のない過酷な環境に置かれることで、神経生理学的に過覚醒や低覚醒(麻痺・凍りつき)の状態になりやすくなります。さらに自らの外我によっても内我の自己責任を負わされるようになると、感情を調整する力が弱まり、強い自己否定感や対人関係の困難を抱えやすくなります。その結果、内我には警戒感や絶望感、無力感、外傷性記憶が凍結されたり、自己の全体から切り離された形で保持されるようになります。中には、喜怒哀楽の表現そのものが乏しくなることもあります。

このように複雑なトラウマでは、外我に内在化された不適切なホロニカル主体(理)などの認知を見直すトップダウンの支援とともに、内我が「今・ここ」の体験を安全で安心できるものとして徹底的に体感できるようなボトムアップの支援が不可欠です。

ホロニカル・アプローチでは、この二つの支援を統合することによって、自己・他者・世界との関係を少しずつ回復していくことを目指します。