
私たちの生は、自己と世界の出あいの「不一致・一致」のただ中で進みます。ホロニカル・アプローチの観点では、この出あいは静止した関係ではなく、相互作用が自己組織化を駆動する動的過程だと捉えます。すなわち、一瞬・一瞬において破壊と創造が同時並行に生起し、新しい自己と新しい世界が、ともに非連続的に同時顕現していると考えられるのです。
自己は、直前までの自己と世界の関係を解体し(破壊)、その瓦礫から次の秩序を編み直します(創造)。この破壊と創造は同時です。こうした動的変容は、単なる循環ではなく、差異を孕んだ更新としての絶え間ない生成消滅の流れ、すなわち「無常」の動的プロセスといえます。世界もまた、自己の働きかけを包摂し直しながら、自らの秩序を再構成します。ここに、自己と世界が互いを「内に包む/外から包む」という二重の包摂運動が生まれます。この運動によって、時と空間が生まれると考えられます。
自己は世界を自己内に取り込み意味づけようとし、同時に世界は自己をより広い全体世界への関係網へと取り込もうとします。この「せめぎ合い」こそが、万象が自ずと然るように成っていく生命の理(ピュシス)として働き、過度な統制や恣意から離れた生成の方向性を与えます。ピュシスは、力学的な因果の直線上ではなく、包摂と反照の往還において脈打っています。
一瞬・一瞬の交錯には、過去と未来が織り込まれています。過去の自己と世界の関係は分的に破壊され、未来へ向けた新たな取り結び直しが創造されます。この再編は、記憶(過去)と予期(未来)が現在に包摂されるという現在が現在を否定しながら新たな現在を創造するという「厚み」を帯びた現在の実践であり、ここに自然の生命の息吹が見てとれます。
現代においては、自己と世界の切っても切り離せない関係が忘却され、両者の間に不必要な断絶が作られがちです。この断絶は、不安・孤立・排他性を増幅し、自己組織化の力を痩せさせます。回復の第一歩は、自己と世界の「不一致・一致」を、命の営みの条件として俯瞰し、引き受けることにあります。