
心理社会的支援において、被支援者が「今・ここ」で安心・安全を感じることは、効果的な支援の基盤となります。支援者は、被支援者の苦悩を無批判・無評価・無解釈の立場からあるがままに受けとめることが求められますが、これは容易ではありません。被支援者は自己と世界の出あいの不一致から生じる複雑な感情を支援者に投影し、支援者もまた被支援者の言動により様々な感情を引き起こされるからです。
このような状況下で、被支援者の苦悩を具体化し、外在化することが重要です。ホロニカル・アプローチのABCモデルにおいては、被支援者のA的固着状態を外在化し、支援者はC点から俯瞰的にA点で苦悩する被支援者を理解します。これにより、被支援者の不一致感に支援者が一致していくことが可能となり、被支援者は支援の場で安心・安全を体感できるようになります。
支援の場が安心・安全でない段階での提案や助言は効果が乏しく、むしろ支援者と被支援者の関係が対立的になる可能性があります。そのため、安心・安全が構築できない場合は、支援の限界を見極める必要があります。
「今・ここ」を扱うとは、支援者と被支援者の出あいの瞬間を丁寧に扱うことです。その瞬間には、両者の過去や未来が包摂されており、不一致が一致の方向に向かっているかを支援者は繊細に見極める必要があります。また、支援者と被支援者の一致度が高まったとしても、その体験が他者や社会との関係に汎化し、生きやすさにつながっているかを見定めることが重要です。もし、支援者との関係が理想化され、被支援者の日常生活での他者や社会との関係が悪化するようであれば、支援の在り方を見直す必要があります。支援者だけが理想化される支援は、詐欺的な支援と区別がつかなくなる恐れがあるといえます。