多層多次元な対応を可能とする場づくり

アトラクター

“こころ”の顕れ方は多層多次元です。そのため心理社会的支援においては、異なる観点から色々と心的症状や問題行動の意味を検討し対応策を練ることが大切となります。しかも出来事は刻々変化していくので、検討し続けるというプロセス的志向が求められます。

支援ので最近よく使われるようになった「ケースフォーミュレーション」という概念があります。この概念は、一定の観点や理論を根拠にして、しっかりと見立て、そして対応するといったパラダイムではなく、また医学的診断のようにあらかじめ定められた基準に従って疾病分類とアルゴリズムに従って対応するようなパラダイムを超えて、多職種の人が協働しながら、もっと症状や問題のもつ複雑性を多角的に検討しなおそうという必要性から生まれてきたと思われます。

特にますます問題が複雑化し錯綜していく心理社会的支援の場では、専門的知識や技術において優れた特定の治療者が専門的観点から見立て、高度な技法によって問題を解決するといったパラダイムは通用しません。

心理社会的支援においては、むしろ当事者も参加し、問題を可視化・外在化しながら、みんなでよりよき解決の道を発見・創造していこうという場づくりが求められているのです。