抽象的理解と具体的理解

“こころ”の現象は、今後、科学技術の水準と研究枠組の精度さえ高度になれば、すべては神経・生理学的な反応に還元して説明することができるという唯物論的な科学万能主義的な考え方があります。

しかしこうした観点は、個性的で、複雑で、感性豊かな個性的を、神経・生理学的な一般化された記号や機械的な論理や言葉によって、ある複雑な現象を説明することがより精密になるだけに過ぎないとホロニカル心理学では考えます。

機械的言語だけでは、豊かな生命現象や生きた自然そのものの感性までは捉え切れず、“こころ”の現象のあるほんの局面しか捉えられないと考えます。

一般化された抽象的な論理とは、あくまで抽象的なるものであって、具体的なものに置き換えることができるものではないことを決して忘れてはならないのです。

それは、ある爆弾で100人が死んだと報道された時、100人という数字の奥には、阿鼻叫喚の修羅場といった具体的物語があるのと同じことです。