予測不可能性について

ミクロからマクロに至るまでこの世界の全ては、相互作用によって生起し消滅していくと考えられます。この世界から何か部分を取り出したとしても、それは周りとの関係のないものとして扱うことができないということです。

遺伝子によって、すべての生命現象が決定されているとするのはドグマにすぎません。遺伝子すら自己自身の内部や自己外の環境との相互関係の中で変異すると考えられるからです。

ミクロからマクロに至るあらゆるものが、それぞれの振る舞いが他の振る舞いに深く、かつ複雑に絡み合っているために、未来を正確に予測することは不可能です。ちょっとしたどこかの揺らぎが、予測不可能な全体の変容につながっているのです。世界が創造的に変動している限り、それは未来が予測不可能であることを意味していると考えられます。

ある偶然が未来を決定しているのです。天気予報のように膨大な情報を集めそれを分析する高度な技術が開発されればされるほど、予測の確率精度を上げることはできますが、それでも想定外の予測不可能な事態は必ず起きるのです。

物事が因果論的に決定されているならば、初期の条件さえわかれば、すべては予測可能な未来となります。しかし実際には、すべてが複雑に絡み合っていて、それぞれが“ゆらぎ”を抱えているために、未来は常に確率論的にしか予測できないのです。