真理(5):真理のありどころ

論理的法則の中に真理があるとは思われません。

自己と世界の出会いの直接体験の中に、より一般的な論理的法則が発見・創造されると考えられます。直接体験との自己照合なき真理は、ただ考え出されたものにすぎません。

真理を求めて、自己と世界の一致に向かうというとき、自己と世界の一致の真理の根拠をどこに見つけるかということは、独我論やニヒリズムに陥らないためにも重要なテーマと思われます。

ホロニカル心理学では、自己照合によって、自己と世界の一致に伴う真理の探求の精度を高めることができると考えています。

この時、自己と自己自身の直接体験との一致だけでは独我論に陥ることを免れません。そこで必ず、もう一つの自己照合手続きが必要になります。この手続きは、自己と他者たちとの一致です。しかしこの時、単なる他者との一致では、真理に関して多様な意見があるといった相対主義的なニヒリズムに陥る危険もあります。

前者と後者の自己照合が交錯するところが自己の生きる場所です。生きる場所において、自己が自己自身と一致し、かつ自己と多くの他者と一致するところに、より生き易くなる道(言詮不及の絶対的真理というよりも、より妥当性のある真理)が発見・創造されると考えられるのです。