直接体験(23):自己組織化

直接体験そのものにおいては、自己と世界の区分などありません。自己と世界は無境界となり直接体験となります。自己にとって実在する世界とは直接体験のことです。

しかし直接体験を自己が意識した途端、意識する主体としての自己と自己によって意識される対象とが区別されます。このとき意識される対象には、非自己化された世界とともに、自己意識の発達によって自己自身も含まれるようになります。自己自身を意識する主体が我(現実主体)となります。我の意識の誕生は、観察主体と観察対象という主客の区分を生み出します。しかしながら主客に分断された世界とは自己意識によって創り出された世界であり、実在する世界とは異なります。

ホロニカル心理学では、実在する直接体験を自己照合の手がかりとして、自己と世界の不一致が少しでも一致する方向に向かって、自己及び世界の自己組織化を促進することが大切と考えています。