心理相談(1):心理相談行為は、医学行為と本質に異なります。

心理相談室“こころ”の部屋

ホロニカル・アプローチのような心理相談では、心的症状の除去や消失が目標とはなりません。症状の除去や消失を求めるならば医療を求めた方がよいかも知れません。心理相談行為の本質は、医学的治療の本質とは全く異なります。心理相談とは、クライエント自身が、生き辛さの意味を問い直し、より生きやすい道を自ら発見・創造するものといえます。支援者は、治す人や救済する人ではなく、クライエントの同行人でありサポーターといえます。しかし、心的症状や心的課題を契機に自己とか世界との関係を見直す歩みの中で、心的症状が変容していく場合があるのも事実です。だからといって、心理相談は、最初から症状の除去や消失を直接の目標とする医学とは、まったくアプローチそのものが異なると考えた方がよいでしょう。

それだけにある苦悩を前にした時、この問題は消去すべき課題として考えるのか、それともこれまでの人生の問い直しの契機と考えるのか、あるいは両者とも重視するかは、とても重要なテーマと考えた方がよいと思われます。

しかしそれにしても、昨今、外的現実の影響を語ることなく、うつ、発達障害や心的外傷などの現象が、遺伝的要因、脳内で起きる生理的反応や脳内の化学物質のバランスの悪さであると説明する科学的データーの発表ばかりが目につくことには危惧を抱いています。