“こころ”とは(4):時間即空間、空間即時間との関係

「3次元の空間」と「時間」はお互いに独立しており、かつ絶対に影響しあわないというニュートン的世界観は、アインシュタインの「4次元」の「時空」の主張によって一変しました。アインシュタインによると、光速に極めて近い速度で動くと時間は遅くなるなど、空間と時間は伸び縮みし、空間が伸縮すれば時間も伸縮し、未来も過去も同時に存在することになります。

ホロニカル心理学では、「時間即空間」「空間即時間」(西田哲学)と捉え、ある瞬間に、「あらゆる時空の出来事」がホロニカル論的に非連続的に包摂されていると考えます。しかしながら、観察主体と観察対象に二岐した途端、観察主体の意識にとっては、たちまちのうちに時間と空間を含んだ多層多次元の無尽の世界が立ち顕れてくると考えています。

実在する世界とは、過去が含まれ、未来が開かれる、今・この刹那(時空)しかないと考えられるのです。こうした瞬間・瞬間の非連続的連続の微妙な時空の変容に対して、私たちは、無常の変容や過去・現在・未来といった「時の流れ」や「意識の流れ」を読みより、その延長上に歴史・文化や物語を創り出していると考えられるのです。

そしてホロニカル心理学でいう“こころ”は、西田哲学で、時間即空間・空間即時間とされてきた「絶対無」や仏教の「空」と同じであり、科学論には「時空」と同じであると意識を含んでもっと広く・深くとらえているわけです。