
存在と作用(働き)は区別することが大切です。
ホロニカル心理学では、存在と作用(働き)の区分を大切にします。“こころ”には、これといった固有の本質など何も無く、作用(働き)として有ると考えます。万物は、作用(働き)によって存在しているため、作用(働き)を失うとあらゆる存在も、やがて絶対無(空)になると考えられます。
ビッグバンに始まるこの宇宙自身が、絶対無から創造されたと考えられる時、絶対無とは、存在としては絶対的に無でありながら、なにか固有の本質をもつことなく、あらゆるものを生み出す作用(働き)が働いていると考えられます。絶対無は、作用(働き)が、すべての産みの親といえるのです。
このように存在と作用(働き)を区別すると、“こころ”を絶対無とするホロニカル心理学の考え方も理解しやすくなります。ホロニカル心理学が、自己と世界のホロニカル関係(縁起的包摂関係)を指摘する時も作用(働き)を指しています。
「自己は世界を包摂しようとし、世界もまた自己を包摂しようとする」と、ホロニカル心理学が自己と世界のホロニカル関係を語ろうとする時、自己が世界を世界たらしめている作用(働き)を自己に包摂しようと作用し、世界も自己を自己たらしめている作用(働き)を世界に包摂しようと作用するということを意味しています。ある時点において、ある自己に包摂しきれないものは、そのまま自己外に排出されますが、排出されたものは他の何かによって必ず包摂されます。こうしてあらゆるものが自己組織化をはかりながらも、相依相待関係を無限に繰り返しながら全一的世界を深化させていっていると考えられるのです。
絶対無から創造された創造的世界は、すべての存在のホロニカル関係を深化させながら新たな創造的世界を自己組織化していると考えられるのです。創造的世界は、新たな万物のホロニカル関係を創造することによって、自らの新たな創造的世界の全一的な統合化を促進しているわけです。創造的世界内のそれぞれの万物からしても、あらゆる万物が他の万物との関係において、ホロニカル関係を促進することによって、全一的統合的な創造的世界を創造しているわけです。部分(個物)が全体(世界)を包摂し、全体(世界)が部分(個物)を包摂するというホロニカル関係促進の作用がすべてに働いているわけです。
“こころ”(絶対無)の作用(働き)に、すべてのホロニカル関係の深化を実感・自覚していくのを促進するのがホロニカル心理学です。
自己を含めあらゆる万物(草木国土悉皆)がおいてある場(絶対無)に、そうしたホロニカル的関係の促進という働きを見るのがホロニカル心理学といえます。すべてがおいてある場を忘却してしまうと、万物を全一的に統合するホロニカル関係促進の働きが不在となり、万物同士はつながりを喪失し、対立・矛盾ばかりが激化することになってしまいます。
現代社会の“こころ”の病も、まさに根本的な“こころ”(絶対無、空、場)の忘却にあると思われます。