死語の世界に入りつつある「お互い様」

心理社会的支援の場では、対人関係における「ほどよい関係」「ほどよい距離」を重視します。ところが、この「ほどよい」のイメージが、いまひとつ拡散しがちです。そこで、それを次のように言い換えてみるとイメージが明確化します。

ほどよい関係とは、お互いがほどよく依存しあっている人間関係ということです。古くからいわれる「お互い様」の関係ということです。人々が、ほどよく助け合って生きていることを体感している関係といえます。

その意味では、「お陰様」という挨拶が交わされなくなった無縁化・疎遠化する都市社会は、明らかに、ほどよい関係が失われかけているといえます。

よく自助・共助・公助といいますが、現代社会は自助ばかり協調されながら、その実態は、共助の力をもっていた地域の絆が解体し、自助か公助かの2者選択的な極端な社会になりつつあるといえるのではないでしょうか。

もし共助がしっかりしているならば、自助と公助はもっと小さくてもいいではないかと思いませんか?