煩悩即菩提とABCモデルの相似性

ABCモデル

親鸞の(正信念仏偈:しょうしんねんぶつげ)では、

よく一(いち)念(ねん)喜(き)愛(あい)の心を発(ほつ)すれば

煩悩を断絶ぜずして涅槃を得るなり

と言われています。この考え方を、ホロニカル・アプローチの基本的コンセプトであるABCモデルで捉え直すと、次のようになります。

煩悩にとらわれている状態をABCモデルで言う 自己と世界の不一致による自己違和的体験のA点への執着状態と考えれば、A点を断絶せずに、自己と世界の一致のホロニカル体験を得ることが出来ると考えられるのです。A点の煩悩に惑わされている人には、なかなか気づき難いけれども、実は煩悩を苦悩するこの世界こそ、自己と世界の一致のホロニカル体験への道は常に開かれており、煩悩から救われ浄化されることは可能と考えられるのです。

ホロニカル心理学では、ある生きづらさをめぐって、生きづらさを抱えている当事者と対人援助職の立場にある人が、適切な共同研究的協働関係を構築できる時(C点)、「今・ここ」という場(世界)に自然なはからいが働き、各々の自己と世界が一致し、新しいより生きやすい道が発見・創造されると考えます。