疾病者に対するホロニカル・アプローチ

秋の収穫

医師によって疾病と診断された当事者にホロニカル・アプローチによって対応するときには、疾病そのもを扱うのではなく、疾病と診断された人の多層多次元にわたる主体の実感している生きづらさを扱う態度をとります。疾病そのものを扱うのは、医師免許を持ってエビデンスのある治療技術をもった治療者であるべきで、ホロニカル・アプローチでは、疾病を対象化して扱うのではなく、疾病と診断された自己と世界の関係上の問題を扱う立場と考えています。したがって、医師免許をもった治療者がホロニカル・アプローチを併用することは可能です。同じように、弁護士、教師、保育士、薬剤師、介護士、ケア・ワーカー、ソーシャルワーカーなど、対人援助に携わる立場にある人が、ホロニカル・アプローチを活用することが可能です。至極当然のことでありますが、ホロニカル・アプローチに関係なく、あらゆる心理社会的支援は、資格を有する専門家による独占行為ではなく、誰でも行える行為であることを忘れてはなりません。

また、ホロニカル・アプローチから誕生したホロニカル心理学が求める健康とか幸せとは、疾病や障害を無くすことではなく、たとえ疾病を抱きながらも、自己と世界の不一致・ 一致の繰り返しの中で、自己がより世界と一致する方向に、自己自身を歩むことができている状態を意味します。