自己超個的自己との出あい

超個的自己は、個的自己を包摂し、超越します。

個的自己は自己意識の発達に伴って、自己超越的自己の働きを実感・自覚していきます。

現代人の多くは、宗教の衰退の中で、超個的働きを忘れ、超個的自己との出あいを失っています。

しかし自己超越的自己との出会いは、我(現実主体)の意識を無にし、自己と世界の出あいが無境界になった瞬間の体験時の自己のことであり、誰でもいつでも触れているものの気づくことが難しい自己でもあるとホロニカル心理学では考えています。

しかも、すべてが自己と世界の区分すら無い無境界の世界は、厳しい修行のもとやカルト集団によってもたらされる彼岸にある浄土にあるのではなく、「今・ここの瞬間・瞬間」こそが本来無境界であることへの覚醒と言えます。

ホロニカル心理学でいう自己と世界の出あいの一致の瞬間のホロニカル体験時の自己が、自己超越的自己と考えています。

自己の自己超越的側面に触れ出すと、自己の存在の意味が、より普遍的なものの探究にあることに目覚めていくようになります。

個的自己の内に包摂され、かつ個的自己を超越的に包摂する超個的自己を目撃する言詮不及の見るものをホロニカル心理学では、「IT(それ)」と名づけています。

しかもミクロからマクロにわたる一切合切を目撃する「IT(それ)」に目覚めていく自己は、自己意識の発達の究極において、見るものと見られるものがそもそも同一であることに覚醒することになります。