脆弱な内我(内的現実主体)への対応

輪郭がなく、すぐに霧散してしまうような弱い内的現実主体(内我)で、かつ外我が、幻想的な支配的ホロニカル主体(理)を内在化した内外融合的外的現実主体(自己意識の発達の第3段階)に陥る人の中に、次のようなタイプの人がいます。幻想的で支配的なホロニカル主体(理)を外界にすべて投影し、自己と世界の間の不一致の出来事がある度に、脆弱な内我は、外界を迫害的に感じてしまう傾向の強い人たちの一群です。

外界を迫害的な対象として感知する内我は、極力、迫害的な外界及び外我からも隠れようとします。しかし、あまりに追い詰められた気分になると、自分の傷つきの原因を、外界や他者の不当な言動に帰属させながら憤怒するようになります。しかしそうした憤怒は、周囲の人にとっては、あまりに一方的であり、理不尽に感します。その結果、次第に周囲の人も、あまりに誇大的で万能的で一方的な外罰的憤怒の言動に対して、そのうち実際に怒れてくるようになり、しばしばきつく注意をするようになります。すると、こうしたタイプの人にとっては、外界からの迫害妄想がさらに確信的なものになって現実化することになってしまいます。

こうした傾向にある人に対する心理社会的支援では、徹底的に安全で安心できる場所で、外我が無となって、内我が直接体験に没頭できるような活動を徹底的に増幅・拡充することが大切になります。自己と世界の不一致・一致の繰り返しにあって、まずは内我が自己と世界の一致に向かって直接体験を安全かつ安心して直覚できるを得ることが大切になるのです。まずは適切な内我の強化が支援の目標となるのです。