矛盾

矛盾律のような理性の論理によって矛盾なき世界を求めても、そこには無機質な機械的世界しか明らかにならず、しかもそうした思考の論理だけでは、命を育くむ実在の世界を実感・自覚することはできません。

実在する世界は、矛盾だらけでありながら、すべてが全一的に展開する無常の世界といえます。

生があるところに死があり、死があるところに生があるのが、実在する世界です。生は死に包摂されつつ死を包摂し、死は生に包摂されつつ生を包摂しようとしています。有は無に包摂されつつ無を包摂し、無は有に包摂されつつ、有を包摂しようとしています。

実在する世界は、理性的に合理的な説明がつかない、実に非合理的で、悲哀に満ちあふれた絶対に矛盾する世界といえます。