幾つかの事例を組み合わせて作成した物語をノンフィクションフィクションとしています。
楓子ちゃんは8ヶ月で、一度も家族の住むお家に帰ることなく保育器の中でこの世を去りました。
楓子ちゃんは、先天性の遺伝疾患を抱えて生まれました。そのため肺呼吸も弱く人工呼吸器の手助けを借りていました。お母さんのお乳もなかなか吸えないため鼻腔栄養の力も借りながら一生懸命生きました。
お母さんも、お父さんも、まだ小さなお兄ちゃんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、みんな毎日、できる限り病院に通いました。そして時には、悪いウイルスに感染しないように最大の注意を払いながら抱っこをしてあげました。楓子ちゃんは、そんな家族の愛情に応え笑みを返してくれました。
でも、ついに最後の日がきてしまいました。
亡くなった時、若い主治医の先生がお母さんにいいました。
「はかない人生でしたね」
この言葉に楓子ちゃんの母親は号泣しながら、次のように訴えました。
「いいえ、誰よりも密の濃い人生だったんです」と。
楓子ちゃんは、家族みんなの“こころ”の中で今でも笑みをくれています。
※カテゴリー「事例的物語」は、ホロニカル・アプローチによる実際の事例をいくつか組み合わせ、個人が特定できないような物語として構成されています。