「でも」「けど」の扱い方

ABCモデル

支援の対話の中で、「・・・でも・・・」「・・・けど・・・」という言葉が頻発することに出あいますが、「でも」「けど」が頻繁に使われるときのパターンは、ABCモデルによって、次の三つに整理ができます。

1 Xの語りの内容に、YがB点の観点から解釈、分析、助言を返した途端、Yの観点に不一致感を感じたXが反論したくなったとき。
X:「毎日ゲームばかりしている」
Y:<ゲームを楽しめているならいいじゃない>
X:「でも、したくて、やっているわけでもないし、何もすべきことをしていない」

2 XのA点に執着していた語りが、一瞬B点に移動したため、Yが、共感的に支持した途端、XのA点への執着心が再び布置し、Yが支持する度に、むしろ不一致感を語りだすとき。
X:「ゲームで○○点取れた」(と嬉しそうに語る)
Y:<それはすごい!>
X:「でも、すべきことを何もする気になれない」

3 Xが自身がA点の視野狭窄的にのめり込んでしまっているX自身を少し心的距離をもったC点の立場から振り返った瞬間。
X:「ゲームばかりやっていることがいいことだと思えないけど・・」

いずれの場合も、言語面接だけではなく、A点、B点、C点を小物を使ったりして外在化することによって、Xの抱える悪循環パターンからの脱出方法を、共同研究的協働関係の立場から模索すると、むしろ「けど」「でも」を契機にして、言語面接だけの時に起きやすい転移・逆転移による抵抗感を減じることができます。